散歩とトマトジュースと焼酎
土曜の午前、歩いて近所の散髪屋へ向かった。
店内の待合にはすでに六人の先客がいた。
椅子に腰かけて待つ自分の姿を想像しただけで、身体が「今日はやめとけ」と言ってくる。
素直に引き返すことにした。
せっかく歩いてきたのだから、そのまま散歩に切り替える。
空気は乾いて日差しが暑い。
足取りは軽いようで重いようで、むくみの気配が足首にまとわりつく。
そんなとき、ふと頭に浮かんだのがトマトジュースだった。
喉が欲しがっているというより、身体の奥が「今はこれだ」と言っている感じ。
気づけばスーパーへ向かっていた。
家に戻り、コップにトマトジュースを半分。
そこに焼酎を同じだけ注ぐ。
赤い色が少し薄まり、夕焼け前の空みたいな色になる。
ひと口飲むと、さっぱりして、むくみの重さがすっと抜けていくような気がした。
歩いた疲れも、散髪を諦めた小さな残念さも、全部まとめて溶けていく。
「身体が要求していたんだろうな」
そんな独り言が自然と出る。
夕食のときにもう一杯飲むつもりだ。午後の競馬は500円負けた。
今日の一日は、予定通りにはいかなかったけれど、
予定以上に自分の身体と仲良くできた気がする。
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