ヒグラシや石段昇降カナカナと
中高生の頃、部活で階段ダッシュをしていた。
体育館が使えない日は、校舎の廊下や階段がトレーニングの場になった。
階段を降りるときは走らず、ゆっくり歩くように──先輩から厳しく言われた。
走ると危険だし、膝などの関節を痛めると聞かされたものだ。
百段の石段を降りながら、ふと50年以上前のあの注意を思い出す。
いまでは、その常識が少し変わったようだ。
歩いて降りることも足腰の鍛錬になるという。着地の振動が足の骨に良い刺激になるらしい。
走って降りるのは危険だが、歩いて降りるだけでも効果があると聞くと、なんだかうれしくなる。
ヒグラシの声を背に受けながら、ゆっくりと石段を降りる時間が、少し誇らしく感じられてくる。
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