息子の働く半導体の世界を見つめて
東芝の半導体部門が身売りされる――そんなニュースが世間を騒がせていた頃、私の胸にも小さな不安が芽生えていた。
息子はその部門で働いていたからだ。会社が変われば、働く環境も、将来の見通しも変わる。親としては、どうしても心配になる。
結局、息子は会社の身売りが進んで外資系のアムコーテクノロジージャパンへと流れた。
半導体の「後工程」を担う会社だという。
転職後も、彼は多くを語らない。ただ、「忙しいよ」とだけ言う。
工場や検査で問題が起これば、管理職になった今でも休日返上で呼び出されるらしい。
その言葉を聞くたびに、私は「大丈夫だろうか」と胸の奥がざわついた。
そんな折、キオクシアが急成長しているという記事を目にした。
東芝メモリの流れをくむ会社だ。息子の働くアムコーと競合するのではないか。
仕事が減るのではないか。再び心配が頭をもたげた。
しかし調べていくうちに、私の不安は少しずつほどけていった。
アムコーは半導体の「後工程」、つまりパッケージングや検査の専門企業で、キオクシアのようなメモリメーカーとはそもそも土俵が違っていた。
むしろ、前工程のメーカーが元気であればあるほど、後工程の仕事は増えるという。
さらに知って驚いた。
アムコーは世界の後工程企業の中でベスト3に入る大手だという。
世界中の半導体メーカーから仕事が集まる立場にある。息子が忙しいのは、会社が傾いているからではなく、むしろ需要が増えているからなのだ。
そう思うと、息子の「忙しい」という言葉の響きが、少し違って聞こえてきた。
休日に呼び出されるのも、彼が必要とされている証拠なのだろう。
半導体は世界の産業を支える基盤であり、その最前線で働く息子を、私は誇りに思う。
心配は尽きないが、彼の選んだ道は間違っていなかった。そう静かに確信できるようになった。
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