水巻町テニス同好会

遠賀郡水巻町でテニスを楽しんでいる同好会活動などを広報します。

赤いパッケージの罠

頃末南

スーパーの飲料コーナーには、いつも赤い顔をしたトマトジュースが並んでいる。

その日も私は、いつものように「今夜の焼酎割りはこれだな」と、迷いなく手を伸ばした。

赤い。トマトの絵。健康そう。

──はい、トマトジュース確定。


そう思い込んだ私は、勝利の気分でレジへ向かった。

ところが、冷蔵庫に入れて数時間後、妻がひと言。


「これ、野菜ジュースやん」


その瞬間、私の中で何かが崩れ落ちた。

確かに、よく見れば“野菜一日これ一本”と書いてある。

しかし、あの赤いパッケージはどう見てもトマトジュースの親戚だ。

むしろ兄弟と言ってもいい。

あれを間違えるなというほうが無理がある。


妻は笑いながら言う。

「パッケージにだまされとるやん」

私は苦笑いしつつ、心の中でメーカーに問いかけた。

──なぜそんなにトマトジュースっぽくするのか。

──なぜ私のような善良な市民を惑わせるのか。


だが、冷蔵庫に入れてしまった以上、もう後戻りはできない。

仕方なく一口飲んでみると、これが意外と悪くない。

トマトの裏から、にんじんやピーマンがひょっこり顔を出してくる。

「どうも、野菜です」と言わんばかりに。


結局その日は、焼酎割りには使わず、朝の栄養補給として飲むことにした。

妻はまだ笑っている。

私はというと、次からはちゃんと文字まで確認しようと心に誓った。

──赤いパッケージは信用しすぎてはいけない。

人生、見た目だけで判断すると痛い目に遭う。

そんな教訓を、一本の野菜ジュースが教えてくれた