水巻町テニス同好会

遠賀郡水巻町でテニスを楽しんでいる同好会活動などを広報します。

AIの仕組みはわからない

頃末南

東京で一人暮らしをしている娘が、会社で管理職になったという。

そのせいか最近、「AI資格を全部取るつもり」と張り切っている。

全部ってなんだ、全部って。

そんなに種類があるのかと、父としては軽く驚く。


先日、ラインで話していて、ふと私が言った。

「AIの仕組みって、わからんね」

すると娘は、あっさりこう返してきた。

「私もわからないよ」


あれだけ資格を受けているのに、わからないのか。

いや、むしろ正直でよろしい。

私も図書館で「AIがわかる」「初級者向け」なんて本を借りてみたが、

どれも“AIで何ができるか”ばかりで、肝心の“どう動いているか”は書いていない。

ページをめくるたびに、「いや、そこじゃないんだよ」と心の中でつぶやく。


しかし最近になって、ようやく理由がわかった。

AIの原理というのは、どうやら大学の数学みたいな世界らしい。

ベクトルだの重みだの、行列だの微分だの。そんなもの、一般向けの本に書けるはずがない。

ましてや資格試験に出るわけもない。


つまり、娘が「わからない」と言うのは、

別に勉強不足でもなんでもなく、

“普通の人はわからなくて当たり前”という話だったのだ。


考えてみれば、AI資格というのは

AIを“作る人”のためではなく、AIを“使わせる人”のためのものらしい。

管理職になった娘が受けているのも、要するに「安全に使わせるための講習」みたいなものだ。


そう思うと、娘の「全部取る」という言葉も、なんだか微笑ましく聞こえてくる。

いつの間にか“管理職としての責任”なんてものを背負っている。

親としては、ちょっと誇らしい。


そして私はといえば、AIの仕組みは相変わらずよくわからないままだが、

「わからない理由」がわかっただけで、なんだかスッキリした気分になっている。


娘と父がそろって「AIはよくわからないね」と言い合う。

そんな時代が来るとは思わなかったが、悪くない。

わからないなりに、少しずつ近づいていけばいい。

AIも人生も、そんなものだろう。