慌てず油断しない熱中症
テレビのワイドショーで「高齢者の熱中症に注意」と繰り返し報じていた。
屋外の炎天下ではなく、自宅で倒れる高齢者が増えているという。
住み慣れた家は安全だと思いがちである。しかし、実際の熱中症搬送の三~四割は室内で起きているというから油断ならない。
高齢者が在宅で熱中症になりやすい理由は単純である。
まず、暑さへの気づきが遅れる。汗腺の働きが弱まり、体温調節機能が落ちる。喉の渇きも感じにくい。
「暑い」「水を飲みたい」という感覚が鈍るため、体内に熱がこもりやすい。
さらに、エアコンを使わない生活習慣が拍車をかける。「冷えるから嫌だ」「電気代がもったいない」と思い、つけないまま我慢する。
こうして、静かに脱水が蓄積し、ある日突然、熱中症として表面化する。
この話を聞きながら、私は自分の生活を思い返した。
長時間のPC作業では、集中しすぎて水分を取らないことがある。
毎月の長距離運転でも、飲むのは缶コーヒーばかりである。
カフェインには利尿作用があり、飲んだ以上の水分が体から出ていくこともある。
つまり「飲んでいるつもりで、実は失っている」のである。
運転は座っているだけに見えるが、背中は蒸れ、緊張でじわじわ汗をかく。
しかし風が当たるため気づかない。これが“隠れ脱水”である。
北九州の夏は湿度が高く、汗が蒸発しない。体温が下がらず、熱が体内に残る。
私の生活は、在宅熱中症の典型的なリスクにかなり近いといえる。
熱中症は当日の暑さだけで起こるわけではない。
名古屋工業大学の研究では、搬送された高齢者の多くが数日前から慢性的な脱水状態にあったという。
昨日・一昨日の水分不足が、今日の熱中症を引き起こす構造である。
私の生活も、この“蓄積型脱水”に当てはまる。
対策は難しくない。
PC作業では一時間に一度立ち上がり、コップ半分の水を飲む。
運転前には缶コーヒーの前に水を一杯。
車内には常温の水を置く。
帰宅後にコップ一杯の“補水タイム”を設ける。
どれも簡単で、続けられる。
ワイドショーの注意喚起は、単なる季節の話題ではない。
高齢者の身体は、若い頃とは違う。
暑さを感じる力も、喉の渇きを知らせる力も弱くなる。
「自分は大丈夫」と思うことこそ危ない。
私自身の生活を振り返り、少しだけ習慣を変えることで、熱中症は防げるのである。
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